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一般外来におけるニューキノロンの処方は諸刃の剣である
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JPY
Abstract
ニューキノロン(フルオロキノロン,以下FQ)系薬剤は1960年代のナリジクス酸の開発・臨床使用を起源とし,今日にいたるまで大きな発展・進化を遂げてきた薬剤である.その抜群の腸管吸収率・組織移行性と長い半減期により1 日1 回の投与で十分な臨床効果を示すものも多く,臨床現場においてきわめて広く重用されている.FQ の処方経験がない医師は僅少であろうと筆者は推測する. しかし,そのFQ の立ち位置が近年大きく変化してきている.「急性胃腸炎にFQ」「膀胱炎にFQ」「何だかよくわからないが発熱しているからFQ」,このような安直なプラクティスが日本中で行われているうちに,いつの間にか薬剤耐性菌の脅威がわれわれの診療に暗い影を落としてしまった.2016 年に薬剤耐性菌問題の対峙を目的として厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance:JANIS)により策定された抗微生物薬に対する薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)対策アクションプラン1)によると,2015 年時点で大腸菌(Escherichia coli)のFQ に対する耐性率は38.0%とある.本案により当年から2020 年までの5 ヵ年計画で抗菌薬処方量の適正化と耐性菌誘導の抑止が目指されたが,大腸菌のFQ に対する耐性率は残念ながら41.4%と減少するどころか増加の一途をたどり,目標値の「耐性率25%以下」には到底届かぬ結果となった.言い換えれば一般診療でもよくみる下部尿路感染症のような大腸菌感染症を,FQ では今や6 割の確率でしか治療できないということである.FQ はもはや,手放しで処方できる薬剤ではなくなったと言っても過言ではない.
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