No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
2021 年6 月現在も新型コロナウイルス感染症が全国的に流行しているが,そのために「咳嗽」は社会にも大きな影響を及ぼす症状となっている.電車内でマスクをせずに咳をしている人がいたために他の乗客が非常通報をして電車が止まってしまう,受験生が咳をしているため他の受験生が別室受験を希望する,といった報道がみられる.わが国の一般住民で咳嗽という症状を有している方は約10%程度いると報告されており1),外来初診時の主訴で最も頻度が高い症状が咳という報告もあることから,咳嗽という症状は多くの人にとって悩ましい問題である2).3 週間以上継続する遷延性咳嗽と,8 週間以上継続する慢性咳嗽の原因疾患を調査した検討では,咳喘息が42.2%,咳優位型喘息が28.4%と,多くが気管支喘息に関連した疾患であることがわかる3).気管支喘息は「気道の慢性炎症を本態とし,変動性を持った気道狭窄(喘鳴,呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴付けられる疾患」4)と定義されているが,明らかな診断基準というものが存在しないため,症状や臨床所見から総合的に診断されている.喘息有症率は小児(15 歳未満)で11~14%,成人(15 歳以上)で6~10%であり,長期的にみると増加傾向にあることから,前述した咳嗽の原因疾患とともに呼吸器診療において中心となる鑑別疾患と考えられる. 身体診察において,気道狭窄に伴う喘鳴を聴取することは,気管支喘息患者の典型的な所見であるが,咳嗽が続くから,喘鳴が認められるから気管支喘息と決めつけることはできるのであろうか.本稿では咳嗽や喘鳴を呈する患者診断のピットフォールとなる点について解説を行う.遷延性/慢性咳嗽の原因疾患としては,咳喘息や咳優位型喘息以外にアトピー咳嗽,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),感染後咳嗽,胃食道逆流や副鼻腔気管支症候群とされている3).このなかでとくに注目しておくべきはCOPD と胃食道逆流である.そして近年では発症者数が減少しているが,わが国では欧米と比較して患者数の多い疾患である肺結核,わが国の悪性腫瘍死亡者数が最も多い肺がんは重要な鑑別疾患としてあげておきたい.さらに頻度としてまれではあるが,気管内異物や腫瘍は咳嗽や喘鳴の原因疾患として本稿で解説しておきたい.
Full text loading...
/content/article/0022-1961/128030/363