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内科
- Author: 喜舎場朝雄1
Abstract
86 歳男性.主訴は湿性咳嗽および労作時呼吸困難.日頃より湿性咳嗽があったが,来院3 日前より喀痰量の増加と修正MRC スケール2 度の労作時呼吸困難があり,当院救急室を受診した.最近1 ヵ月で約2.5 kg の体重増加も伴っていた.発熱や胸痛はなかった.職業は元農家であり,心房細動(66 歳),気管支喘息(78 歳),閉塞隅角緑内障(85 歳)の既往歴があった.50 パック・年の既喫煙者,飲酒は現在も週に2 日2 合,家族歴に特記すべきことはなく,ザクラス配合錠LD 1 錠/日(azilsartan 20 mg+amlodipine 2.5 mg),isosorbide mononitrate 20 mg/日・分2,rivaroxaban 10 mg/日,lansoprazole(OD 錠)15 mg/日を服薬しており,薬物によるアレルギーはとくになかった. 来院時の血圧104/50 mmHg,脈拍110 回/分,呼吸数24 回/分,体温36.3℃,酸素飽和度90%(室内気),GCS E4M6V5.安静で軽度の呼吸困難あり.眼瞼結膜に蒼白なし,眼球結膜に黄染なし,下眼瞼に浮腫あり.舌の乾燥なし,衛生状態はやや不良.頸静脈は呼気で怒張し,laryngeal height( Column 参照)が 1.5 横指で短縮あり.気管が左に偏位,右の胸鎖乳突筋が2.5 横指で発達あり,左の中斜角筋が2 横指で発達あり.喘鳴は聴取せず.リンパ節腫脹なし.胸郭はビア樽状,右前胸部で呼吸音低下,左肺尖部は打診で鈍,右肺底部も鈍で,聴診で吸気終末に漸増しないファイン・クラックル(fine crackles)を聴取した.また左肺底部で吸気早期にコース・クラックル(coarse crackles)を聴取した.心拍は不整,S3・S4 を聴取せず,雑音なし.腹部に肝脾腫なし,腸蠕動亢進や減弱もなし.四肢にばち指なし,下腿にslow edema あり,関節痛・筋肉痛なし.皮疹なしであった. 血液検査の結果は,WBC 5,700/mm(3 Eos 0.9%),Hb 11.4 g/dL,Ht 36.6%,Plt 122,000/μL,Na 147 mEq/L,K 4.7 mEq/L,BUN 23 mg/dL,Cr 1.25 mg/dL,AST 34 IU/L,ALT 23 IU/L,T‒Bil 0.6 mg/dL,CRP 0.47 mg/dL,BNP 221.3 pg/mL であった.
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