No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
粘膜免疫システムは外部環境と体内環境の境界として,共生微生物,病原微生物,食物抗原,アレルゲンなどを含む多種多様な異種抗原の識別を行う.この結果,生体にとって不利益な病原微生物やアレルゲンに対しては,粘膜系IgA抗体や上皮細胞間リンパ球による細胞性免疫などの積極的免疫応答を誘導してその排除を試みる.一方,生体の生命維持に必要な抗原(例:共生細菌,食物抗原)に対しては消極的免疫誘導機構を発動し,寛容・無視・無応答などの免疫学的恒常性を確立するとともにその維持を図っている.このように相反する免疫応答を巧みに誘導制御する場として粘膜免疫システムは生体の恒常性に必要不可欠である.粘膜免疫システムにおける免疫寛容の誘導制御が,自己免疫疾患に対する予防・治療への新しい取組みとして1980年代から注目され,その応用性をはかる理論的・技術基盤の確立が進められてきた.しかし,その臨床現場への応用については残念ながら達成できていない.経口あるいは経鼻的に抗原を投与し免疫寛容を誘導する方法は,ステロイドなどの免疫抑制剤を中心とした従来の治療よりも,全身系の副作用が少なく安全で簡便な方法として臨床への応用が期待されていることも事実である.一方,自己免疫性疾患の発症や増悪に密接に関与しているTh17細胞が同定され,その細胞が腸管の粘膜固有層に多く存在することが明らかとなり,粘膜系におけるTh17細胞の誘導制御機構の解明が活発に進んでいる.その解明は自己免疫疾患治療への新しいアプローチとして注目されており,その具現化に向けた研究が精力的に進められている.
Full text loading...
/content/article/0039-2359/230090/777