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病原微生物の除去でがんはなくなるか(2)―最新のC型肝炎治療薬がひとり分1,000万円となる理由
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JPY
Abstract
・わが国の肝臓がんによる死亡者は,年間3万人あまりである.その3/4以上は慢性のC型肝炎ウイルス保因者であり,肝臓がん予防にはウイルスの除去が重要と考えられてきた.従来はインターフェロンとウイルス増殖阻害剤がおもに用いられてきたが,わが国に多いタイプのC型肝炎はインターフェロンで根治しにくく,使用中は減少しても治療終了後に再燃することが多く,発熱,全身倦怠や,血小板減少に加えてうつ症状の副作用も問題であった.・一般に慢性感染症の原因微生物の除去は,単剤では耐性菌の出現により再燃しやすく,根治が難しい.一方,複数の薬を1日何回も複雑に分けると飲みにくく,飲み忘れや効果不足になりやすく耐性菌を生むことが多い.結核では抗結核剤を第三者の前で服薬確認する方式が大きな成果をあげている.・C型肝炎ウイルスは10個の蛋白質をコードするRNAウイルスであるが,そのうちのNS5B 蛋白質のRNA ポリメラーゼ阻害剤と,まだ機能はわかっていないNS5A 蛋白質に結合する増殖阻害剤の合剤“ハーボニ”が,1日1回12週間の服用で90%以上の患者の血液中からのウイルス消失をもたらす画期的な効果をあげた.・ハーボニはひとり分1,000万円を超える薬価で,アメリカで年2兆円の売上が予測され,発売元のGilead Sciences社の株価は急上昇している.しかしその創薬の過程をみると,NS5A阻害剤レジパスビルはBristol-Myers社の開発したBMS790052とそっくりの構造であり,NS5B阻害剤ゾバルディは開発したPharmasset社を1兆1千億円で買収して得たものである.かつてブッシュ政権の国防長官をつとめたラムズフェルド氏が会長を務めたこともあるGilead社の政治力とマネーゲームがみえてくる.
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