No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
◎成人T 細胞白血病(ATL)は,異常T 細胞の増殖によって生じる.ATL は西日本,とくに九州に多発するため,以前は九州地区における風土病のように考えられた時期もあった.その後,キャリアの分布が東京などの都市部に拡散してきたことから,現在では妊婦における抗体検査が全国的に行われている.原因ウイルスはHTLV-1 であり,いったん発症するとその予後はきわめて不良である.おもな感染経路は母乳による母子感染と考えられている.すなわち,母子感染の予防は児の将来的なATL 発症のみならず,感染連鎖の悪循環を断ち切るという意味からも重要である1).長崎県においては1987 年以降,28 万人以上の妊婦を対象に抗体検査を行い,8,400 人以上のキャリアを検出した.キャリアには母乳感染の可能性について説明し,希望者には母乳停止による介入試験を実施した.その結果,約1,500 人の小児のキャリア化が阻止され,将来のATL 発症が75 人程度防止されたと考えられる.さらには本事業の開始以前に出生した母親のHTLV-1 抗体保有率1.46%は,その後に出生した母親の0.64%へと明らかな減少が認められている.本稿では,ATL とその原因であるHTLV-1 母子感染について解説するが,とくに長崎県で続けてきた母子感染防止研究事業の成果,最近著者らが取り入れた新しい検査法,および母子感染の母乳以外の感染経路についても解説する.
Full text loading...
/content/article/0039-2359/253130/1221