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JPY
Abstract
慢性のアルコール多量摂取は,神経系にも影響を与え多彩な疾患群を形成する.なかでもウェルニッケ脳症(WE)はアルコール依存症に併存する代表的な急性神経中枢疾患であり,意識障害・小脳性失調・眼症状を三徴とする.とくに低栄養を伴ったアルコール症患者の意識障害ではこの疾患を疑い,早期にビタミンB1の大量投与を行うが,認知機能低下が持続しコルサコフ症候群(KS)へ移行する場合がある.一方,アルコール依存症者はWE のエピソードがなくとも頭部MRI 上,萎縮・脳梗塞・深部白質病変が顕著である.脳外傷や痙攣の既往,肝性脳症などが合併していることも多く,将来のアルコール関連認知症の素地となる.認知症発症の際には断酒に加え,包括的な生活スタイル改善プログラムが悪化防止に必要である.
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