No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
ウィルソン病患者の銅除去薬の怠薬によるディスアースリア,筋萎縮,振戦,ジストニーなどが再発した症例
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
ウィルソン病は常染色体劣性遺伝形式をとる。また,第 13 染色体長腕の ATP7B の酵素が機能不全となり,銅代謝異常が起こる。その結果,組織に過剰に銅が沈着する。銅はセルロプラスミンの低下のため,特に肝臓ではメタルチオニンあるいはアルブミンと結合する。アルブミンと結合した銅は容易に遊離し,銅イオンとメタルチオニンとが結合し,活性酸素を発生させ組織を障害させる。このことからウィルソン病では生体内の過剰に沈着した銅を除去しないと,この疾患の遺伝的特性から組織,ことに肝臓,脳,網膜,腎臓などに障害を起こすことは明らかである。この事実を解明するために外来で長期観察した 7 例のうち 3 例は,長期にわたって銅除去薬D−penicillamine(D−PC)と酢酸亜鉛(Zn)を交互に投与した。残りの 4 例は初期病状の発現と同時に銅除去薬の投薬で臨床症状は寛解したが,途中に銅除去薬を怠薬した。銅除去薬の投薬を長期にわたって続行した 3 例と怠薬した4 例について,怠薬の臨床的症状に及ぼす効果影響を比較検討した。投与を持続した 3 例は幼少時に発症した構音障害,アテトーゼは改善したが,残りの 4 例は中途で怠薬したことから初期症状の発現時には銅除去薬で寛解したが,怠薬以降,外来受診時には著明な歩行障害および構音障害と尿細管障害を発現した。投薬を再開すると同時に言語療法および理学療法を試みたが,症状の改善は認めず,また,臨床症状は進行しなかった。ウィルソン病の長期の観察から,組織に沈着した過剰の銅を除去するためには継続的に銅除去薬を服用することが,ウィルソン病の治療に重要であるとの示唆を得た。
Full text loading...
/content/article/0289-8020/29090/1627