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2型糖尿病患者に対するDPP–4阻害薬シタグリプチンの投与6 ヵ月間の臨床効果に関する検討
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JPY
Abstract
わが国で2009 年12 月にDPP –4(dipeptidylpeptidase –4)阻害薬シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア 錠,以下,シタグリプチン)が一般臨床で使用できるようになった。また2010 年になり,他のDPP –4 阻害薬であるビルダグリプチン・アログリプチンが臨床使用可能になった。注射剤であるGLP –1(glucagon –like peptide –1)受容体作動薬のリラクリチド・エキセナチドも使用可能になった。初期インスリン分泌障害を有する日本人2 型糖尿病ではその効果が期待されており,大きなパラダイムシフトを迎えたと考えられる。インクレチンは消化管ホルモンであり,上部小腸に分布するK細胞からGIP (glucosedependent insulinotropic polypeptide)が,下部小腸に分布するL細胞からGLP –1 が,栄養素として摂取した糖や脂質,アミノ酸などの刺激により分泌され,膵β細胞に作用しインスリン分泌が促進される。またGLP –1 により直接的か間接的かまだ不明であるが,膵α細胞でのグルカゴン分泌が抑制される。インクレチンの膵β・α細胞に対する作用は血糖依存的であり,血糖値が高いときのみ血糖を負に制御する。GLP –1 の作用の特徴は,インスリン・グルカゴン分泌に対する作用だけでなく,膵β細胞の保護作用(β細胞増殖・アポトーシス抑制),食物の胃からの排出遅延作用,食欲抑制作用など多彩な生理作用を有していることである。シタグリプチンは,このインクレチンの分解酵素であるDPP –4 を選択的に阻害し,インクレチンの血中濃度を食後に3 倍程度上昇させ血糖コントロールを改善する。そのためシタグリプチンは食後および空腹時血糖の両者を下げながら,同時に単独投与では低血糖は起こしにくく,体重増加をきたさないという特性を有している。今後もし膵β細胞を減らさずに治療していくことができれば,膵β細胞が減少するという糖尿病の自然史を変えるような治療が可能になる。血糖値を下げるだけでなく,糖尿病の進行を抑制するための薬剤として重要な位置づけになる可能性がある。シタグリプチンは,糖尿病治療において幅広く応用されることが期待されているが,まだ日本人2 型糖尿病治療における使用成績は少ない。そこで当院通院中の2 型糖尿病患者について6 ヵ月間のHbA1c の変動,臨床検査値の経過について解析したので報告する。
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