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痛みのClinical Neuroscience(11) 慢性疼痛におけるエピジェネティクス機構の理解
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JPY
Abstract
後生的な遺伝子修飾機構であるエピジェネティクスは,遺伝子配列の変化を必要とせず,膨大なゲノム情報の各所を修飾することにより転写効率に変化をもたらし,ゲノム情報を制御する.このような制御機構は,外界からのさまざまなストレスに組織/細胞が対応した結果においても作動するため,過剰応答の入力などは細胞形質の変性を惹起させてしまうほどの威力がある.一方,痛みは「生体防御」における重要なバイタルサインであり,生体にとって必要不可欠なシグナルであるものの,激痛や慢性的な痛みは生体防御のバランスを破壊し,生体に歪みを与える.このような特殊な痛みシグナルは,細胞応答のオン/オフ機構を麻痺させることで細胞形質の変化を誘導し,やがて全身状態を悪化させる.こうした背景からも,痛みの慢性化には「痛み細胞記憶」としてのエピジェネティクス制御が関与していると予測できる.また疼痛治療を奏効させるためには,痛みが激化あるいは慢性化する前に積極的に除痛を行うことが重要であり,痛みへの我慢を強いることはその後の治療の難度を上げてしまうことになりかねない.痛みによる細胞のエピジェネティクス修飾という現象は,今までの痛み治療に対する認識を本質的に変えていかなければいけないことを提案/主張しているのかもしれない.
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/content/article/0370-8241/71050/1006