Abstract
胆道癌に対する治療としては, 早期の段階における外科的切除が最も根治性が高いと考えられるが根治手術がなされても, 局所再発, 肝転移を来すことも多い。そこで当施設では, 胆道癌の根治手術後に5-FU の予防肝動注療法を施行している。対象・方法: 2000 年1 月より2003 年12 月までの4 年間で当院外科に入院した胆道癌患者は63 例で, 胆管癌30 例, 胆嚢癌23 例, ファータ乳頭部癌10 例であった。そのうち根治手術がされた胆道癌患者は37 例(胆管癌16 例, 胆嚢癌14 例, ファータ乳頭部癌6 例)であった。これらの症例のうち, 同意が得られた18 例(胆管癌9 例, 胆嚢癌7 例, ファータ乳頭部癌2 例)に対して予防的に肝動注化学療法を施行した。予防肝動注療法は, 血管のコイリングをした後, 動注ポートの埋め込みはせず,大腿動脈を穿刺した血管造影用のカテーテルまたはマイクロカテーテルに直接シリンジポンプを接続し, 5-FU 1,000 mg /day ×(3+3)days /week を1 クールとして2 クール施行した。結果: Kaplan -Meier 法による, 術後予防肝動注化学療法群の50%生存期間は1,024 日, 術後非予防肝動注化学療法群の50%生存期間は515 日であった。また術後予防肝動注化学療法群の生存率は有意差をもって, 術後非予防肝動注化学療法群より高かった(p=0.048, Wilcoxon test )。以上より, 5-FU 単剤術後予防肝動注療法が有用である可能性が示唆された。