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JPY
Abstract
抗がん剤がその効果を発揮するためには,最終的にがん細胞の標的分子に十分量が到達することが必須である。抗がん剤のがん細胞への到達は薬物動態解析から推測されるが,その薬物動態は主に吸収,分布,代謝,排泄の四つの要因からなる。この細胞外および体外への排泄を担う主要分子としてABC トランスポーターが存在する。これらの過程のいずれかが障害されると,臨床的な抗がん剤耐性を招くことになる。薬剤輸送蛋白であるトランスポーター型のABC 蛋白は主に細胞膜に存在しATP エネルギーを利用して,基質の濃度勾配に逆らって薬剤を細胞内から細胞外へ能動輸送する抗がん剤排出ポンプとして機能し,薬剤の細胞内蓄積の減少という形で耐性に寄与する。他方,細胞質内に到達した薬剤を細胞質内のゴルジ装置をはじめとする小胞内に隔離し,標的分子との接触を阻止する。一方,個体レベルから考えると薬剤の排泄だけでなく吸収にも大きく関与している。現在までに48 個のヒトABC 遺伝子が分離され,その構造相同性よりA 〜G 群までの七つのグループに分類されている。抗がん剤輸送に関与する主なABC トランスポーターは現在Pgp/ABCB 1 ,MRP 1 〜3/ABCC 1 〜3 ,BCRP/ABCG 2 とされ,それぞれの基質となる抗がん剤が存在する。最近,分子標的薬がPgp やBCRP の基質であることが注目され,ABC トランスポーターの遺伝子多型が薬物動態,薬効,有害事象に大きくかかわることもわかっている。今後,実地医療のなかでABC トランスポーターの重要性を認識する必要があり,そのためにもABC トランスポーターの網羅的な研究とその成果の流布が求められる。
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