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癌性悪液質の成因と治療に関する最近の進歩−サイコオンコロジーの一分野として−
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JPY
Abstract
食欲不振や体重減少を主徴とする悪液質病態は多くの基礎疾患に合併して認められるが,とりわけ癌においては頻度が高く,生命予後そのものにも重大な影響を及ぼす。体脂肪組織からその量に応じて放出されるレプチンは,脳内に体脂肪の蓄積状況を伝える求心性シグナルであり,視床下部に存在する食欲調節物質が食欲やエネルギー消費を変えることにより,体重(体脂肪量)を一定に保持するというフィードバックループの存在が証明された。癌性悪液質は,サイトカインによるレプチン様シグナルの過剰病態と考えられ,このことが飢えに対する生体の応答を阻害し,持続的な食欲不振,基礎代謝量の亢進,体重減少を引き起こす。悪液質の治療は食欲を増加させ,体脂肪量や筋肉量の減少を阻止し,QOL の維持,向上を図るとともに,各種治療の耐性を高め,予後を改善することにある。過剰なレプチン様シグナルを是正することにより,食欲・体脂肪量調節ループを適度に作動させることが目標となる。しかし,薬物療法はあくまでも補助療法であり,心身両面からの包括的な診療を行うことが重要となる。癌性疼痛や疲労といった癌特有の他の症状と合わせ,診断から終末期に至るまでの緩和医療の一環として,位置付けられる必要がある。
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/content/article/0385-0684/32060/743