Abstract
背景・目的:Bcl-2蛋白はアポトーシス抵抗因子であり, 抗癌剤耐性を誘導する。アンチセンス(AS)Bcl-2(Genasense)は米国で臨床試験が進行中であるが, その効果にはアンチセンス作用とCpG-motifによる免疫誘導の非アンチセンス効果が示唆されている。胃癌・乳癌細胞に対するAS ODNsによる抗癌剤効果増強作用, AS Bcl-2 の非アンチセンス効果について検討した。対象・方法:胃癌細胞MKN-45, 乳癌細胞BT-474, ZR-75-1, MDA-MB-231を用い, AS Bcl-2 はS-oligo, 18-mer, in vitro ではリポフェクチン法により24時間処理で行った。AS Bcl-2 の免疫誘導作用はCpG-motifのメチル化(MeODN)と比較した。抗腫瘍効果はMTT 法, in vivo はヌードマウス可移植性腫瘍を用いた。結果・考察:AS ODNsによるin vitro感受性増強はADM, CDDP, taxane系で認められ, MKN-45 3〜4倍, BT-474 8〜10倍, ZR-75-1 3〜7倍, MDA-MB-231 3〜6倍であった。Bax, Cleaved PARPの増加, Bcl-2, pAktの減少によるアポトーシス誘導を認めた。in vivo でもAS Bcl-2 併用による抗腫瘍効果増強が認められた。AS Bcl-2 処理により脾腫大, IL-12産生の増加が認められ, IFN-γの増加はみられなかった。摘出脾表面マーカー解析では, AS Bcl-2 により, CD80, CD83, CD86, CD27の増加が認められた。AS Bcl-2 の効果増強にはアンチセンス作用とpDC, B-cellを介した免疫修飾作用の関与が示唆された。AS Bcl-2 は胃癌・乳癌に対する有用なchemosensitizerである可能性が示唆された。