Abstract
コラーゲンゲル法により原発胃癌の薬剤感受性を調べたところ, CBDCA, CDDP, 5-FU, docetaxel(DOC)が高い感受性を示した。胃癌高度腹膜転移株MKN-45-P をTS-1(12mg/kg)で治療した群では, 治療開始日に関係なく対照群の生存率と差がなかった。5-FU 15mg/kg ip・18回, 30mg/kg ip・9回投与群ではTS-1 12mg/kg po(計20回)や対照群に比べ有意に生存率がよかった。5-FU 30mg/kg ip投与群の注入液の5-FU 濃度は600μg/ml と高値を示した。TS-1 12mg/kg 投与60分での腹水中5-FU, CDHP 濃度は927±558ng/ml, 1,483±719ng/ml であった。CDDP 3.5mg ip投与(6, 13日)群, TS-1単独群, 対照群ではMST 36, 28, 32日で差を認めなかった。しかし, CDDP+TS-1(8mg/kg)群ではMST 50日で有意に他の3群より生存率が良好であった。DOC 8mg/kg, 2mg/kg ip投与群ではMST 90, 63日で, それぞれ4匹, 1匹は腹膜播種が消失していた。DOC 8mg/kg ip投与後は8時間後も腹水中DOC 濃度(4.58±0.28μg/ml)は高い濃度を維持していたが, iv投与では腹水中濃度はip投与後に比べ1/100の値であった。また, 腹膜播種組織内のDOC 濃度はip投与8時間ではiv投与後に比べ有意に高い値(4.65±1.33μg/gr)を示した。CBDCA 50mg/kg(day3, 7ip)100mg/kg(day3, ip)投与群では有意に対照群より生存率が良好であった。MST は対照群26.3日, 100mg/kg 群37.7日, 50mg/kg 群40.3日であった。しかし, 体重減少を認めた例はなかった。以上より胃癌高度腹膜転移株MKN-45-P による腹膜播種モデルにおいて, 5-FU ip, TS-1po+CDDP ip, DOC ip, CBDCA ip療法は有効であり, 臨床への応用が期待される。