Abstract
症例は71歳, 女性。2002年3月7日, 体下部中心の進行胃癌に対して胃全摘, 脾摘, 胆摘およびD2+αリンパ節郭清, 腹腔ポート留置を行った。所見はMLU, 10×14cm, por1 type3 pT3, pN3(12p:1/1, 16b1 int:3/3, 16b1 lat:2/2), P1(横行結腸間膜), CY1, H0, p stage IV であり, 根治度はB であった。術後腹腔ポートよりMTX/CDDP/5-FU のdouble modulation療法を1クール行い退院した。それ以降は外来にて, 同じく腹腔ポートよりMTX 30mg+5-FU 750mg をbi-weekly で継続していた。同年8月に食思不振と下痢が出現し, 再入院となった。腹部CT では著明な腹水の貯留を認め, 腹水の穿刺細胞診ではadenocarcinomaとの診断結果であった。抗癌剤に起因した化学的な刺激による炎症反応とも考えられたため, ポートからの化学療法を中止し, 同月末からはpaclitaxel 90mg/bodyをweeklyで経静脈的に開始した。全身状態が改善したためいったん退院し, その後も外来にてpaclitaxel 90mg をbi-weeklyに継続した。同年の11月の腹部CT では腹水の減少を認め, その後さらに腹水は消失した。約3年を経た2005年3月の現在までpaclitaxel 90mg を2〜3週ごとに継続中であるが, 腹水の再貯留やリンパ節の腫大, 肝転移なども認めていない。