Abstract
症例は56歳, 男性。2004年2月より下痢出現。近医にて5月に施行した腹部CT にて進行膵癌と診断される。6月当院外科紹介受診となる。腹腔動脈浸潤にて手術適応なしと判断され, 放射線化学療法としてradiation 3Gy/dayおよびgemcitabine(GEM)1,200mg/week(800mg/m2, BSA 1.6, day1, 8, 15)の投与を開始した。副作用は嘔気, 全身倦怠感などを認めるもgrade1であった。治療後の造影CT にて腫瘍径は5.7×4.8cm → 5.2×4.4cm(縮小率9%)と縮小した。引き続きGEM+UFT 併用化学療法を開始した(1クールUFT 360mg/day total 4,320mg, GEM 1,200mg/body total 2,400mg)。CA19-9は低下傾向を示し, 5クール終了時には619から39U/ml まで減少した。腹部CT では4クール終了の段階で腫瘍の縮小率が21%であった。また自覚症状も下痢が軽快し, QOL も改善した。約6か月にわたりコントロール良好であったが, 2005年3月よりCA19-9が増加し, 下痢, 痛みも認めるようになったためにGEM+cisplatin(CDDP)1クール, GEM+TS-1 1クールを施行した。難治癌である手術不能進行膵癌に対して, GEM と放射線の併用療法およびGEM+UFT 併用療法が奏効し, QOLの改善が得られた1例を報告した。