Abstract
がん終末期患者が安心して在宅療養に移行するための急性期病院(以下, 急性期)医師と地域医療担当(以下, 地域)医師の役割, 協働を検討する目的で, 医師を対象としたアンケート調査を行った。調査は急性期と地域医師の2群とし, それぞれのアンケート用紙を配布, 回収した。配布数185, 回答数は123(急性期医師35, 地域医師88), 回収率66.5%であった。急性期医師の医師経験年数は18.7±9.0年, 地域医師は経験20.9±9.2年, 訪問診療経験93.2%であった。調査結果において急性期と地域医師の患者評価で有意に差があったものは, 退院時の患者家族の病状理解, 患者家族への医療処置指導, 症状緩和, 病院での精神的フォローであった。また, 地域医師の約70%は夜間および緊急時の医療対応に患者家族が不安をもっていると回答し, 約70%が緊急時の急性期病院対応に困った経験があるとしている。一方, 急性期医師の62%は緊急時の対応を必ずしていると回答している。患者家族にとって, 安心でQOL が高い在宅療養を行うためには具体的目標が2群医師間および患者で共有できることが重要と考えられる。急性期医師と地域医師が十分に連携を取り, 在宅医療移行時の役割分担を明確にし, 共通目標を達成する方策を考えていくことが必要である。