Abstract
当院で臨床腫瘍部外来通院治療室が発足してから1年8か月を経過した。目的:臨床腫瘍部での外来通院化学療法(外来化療)の現状分析と問題点について考察した。対象と方法:外来化療を施行した延べ数4,500件について, 現疾患, 外来での化療時間, 疾患別の化療時間, 化療回数, また化療外来でのインシデントやアクシデントなどについて検討した。結果と考察:臓器別件数では乳癌49%, 消化器癌47%(食道癌4%, 胃癌28%, 大腸癌15%), その他の消化器など4%であった。時間は癌種, レジメンの内容, 年齢などにより違いがあるが, 時間枠別にみると1時間以内は主に乳癌が多く全体の40%で, 1〜2時間, 2〜3時間は乳癌と消化器癌がほぼ同等で, 40%と15%, 3時間以上は主に消化器癌で5%であった。化療外来での誤薬, 薬剤の血管外漏出事故などはなく, 化療による副作用としての好中球減少時の発熱, 下痢などでの救急入院が若干名にみられた。外来化療を安全に行うために, 近医との連携も重要で, 発熱時の対応や, 顆粒球減少時のG-CSF 投与についてもできるかぎり近医に協力をお願いし, 患者の通院負担を減じるようにしている。臨床腫瘍部での外来化療では, 患者個々に合わせたきめの細かい治療が可能で, かつ副作用が問題となるレジメンのコントロールも可能であった。しかし, 外来での診察と化療の実施についてはマンパワーの不足により, いまだに円滑に行わないため待ち時間も長く, 今後, 臨床腫瘍部でのパラメディカルを含めた業務の見直しが必要である。このためにはより効率的な外来診療体系の確立が必要であると思われた。