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TS-1投与で肝転移がCR となった腹膜播種の著明な切除不能のS 状結腸癌の1例
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JPY
Abstract
症例は64歳,男性。腸閉塞で発症したS 状結腸癌。入院時の腹部CT で多発性肝転移(H2)を認めた。開腹時すでに腹膜播種(P3)を認め,全結腸が後腹膜に強く固定されていた。S 状結腸に存在した原発巣の切除は不能であったため,回腸瘻造設術のみ施行した。術前CEA 487ng/ml, CA19-9 162U/ml。化学療法による予後の延長を期待して,術後21病日よりTS-1単剤の投与を120mg/dayの4週間連続投与と2週間の休薬を1クールとして開始した。投与開始後3週間目よりTS-1の副作用と思われる,血圧の変動,下痢などが出現したため,4週目より100mg/dayへ減量して1クール終了した。2クール目より100mg/dayで3週間連続投与と2週間の休薬を1クールとして投与を続けた。一時CEA 643ng/ml,CA19-9 606U/ml まで上昇認めるも,投与開始後6クール目にはCEA 71.3ng/ml, CA19-9 36.0U/ml と著明に低下した。腹部CT 上で肝転移に対する効果はCR, 腹膜播種に対する効果はNC であった。8クール終了後よりCEA 190ng/ml,CA19-9 50U/ml と再度上昇に転じた。9クール終了後にCEA 285ng/ml, CA19-9 75.8U/ml と著明に上昇。腹部所見および腹部CT でも肝転移の再発および著明な腹水貯留が出現したため,TS-1単剤による化学療法を終了した。TS-1単剤100mg/dayの3週間連続投与と2週間休薬での化学療法中は副作用を認めず,大腸内視鏡目的の入院を除いて,入院を必要としなかった。その後,入院して腹水コントロールを行いながらCPT-11/TS-1併用療法を開始した。腹水コントロール良好となり退院となったが,CEA 285ng/ml, CA19-9 75.9U/ml と上昇がみられた。その後もCEA 573ng/ml, CA19-9 185U/ml と上昇。手術より14か月半経過の後に腹膜播種による癌性腹膜炎のため永眠された。TS-1単剤による化学療法は同時性肝転移を伴う大腸癌腹膜播種症例においても有効な化学療法で,在宅療法可能であるためQOL の維持に貢献できたと思われた。TS-1は進行大腸癌における抗癌化学療法剤の選択肢の一つになり得ると思われた。
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/content/article/0385-0684/33010/113