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JPY
Abstract
重粒子線のなかでも炭素イオン線はプラス荷電を有した高LET 放射線であるため,従来のX 線と比較し,生物学的特徴としてより強い抗腫瘍効果をもつと同時に,線量集中性の良好な荷電粒子線としての物理学的特徴を有している。さらに,炭素イオン線は酸素濃度や細胞周期の影響を受けずにがん細胞のDNA に損傷を与えることができる放射線である。以上から,炭素イオン線治療は放射線抵抗性の腫瘍に対しても効果を発揮できるとともに,腫瘍周囲の正常組織に対する有害事象を最小限に抑えることが可能な放射線治療と考えられる。この特徴をがん治療に応用するために,放射線医学総合研究所(放医研)に治療用の重粒子加速器(HIMAC)が建設された。HIMAC で加速された炭素イオン線を利用して,1994年6月から放射線医学総合研究所で臨床試験として開始された重粒子線治療は,現在までに42のプロトコールを施行し,各疾患に対する重粒子線治療の安全性および有効性を確認してきた。2005年8月までの治療患者数は2,371症例(2,479部位)であり,1年当たりの治療件数は年々増加している。2003年11月からは多くの疾患で高度先進医療に移行して治療を継続する一方,超難治性癌に対する治療成績の向上や短期照射法の確立を目的とした臨床試験は現在も継続中である。本稿では,炭素イオン線の特徴,放医研での治療体制,有害事象とその対応,代表的疾患の治療成績について,今後の展望を加えながら説明する。
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