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ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)活性と遺伝子異常
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JPY
Abstract
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(dihydropyrimidine dehydrogenase,DPD,EC.1.3.1.2)は生体内ピリミジン類の異化代謝のみならず,抗がん剤として繁用される5-fluorouracil(5-FU)の唯一の不活性化反応経路の第一段階目となる律速反応を触媒している。ヒトにおいては投与された5-FU の約85%が本経路により代謝分解されていることが知られている。5-FU によるがん治療においてDPD が果たす役割の重要性は,末梢血単核球(PBMC)中のDPD 活性が欠損あるいは非常に低い患者に5-FU を投与すると重篤あるいは死に至る副作用が発現することからも明らかである。同様に,DPDの競合阻害剤や不可逆的阻害剤を用いた研究により,5-FU 代謝におけるDPD の重要性が明らかにされている。DPD 欠損者や低活性者の存在割合についての人口分布調査が健常人ボランティアやがん患者のPBMC 中のDPD 活性を指標として行われている。その結果,DPD 活性には大きな個体差が存在し,平均活性の30%および10%以下の活性しか示さない低活性者の割合は,それぞれ3〜5%および0.1%であると推定されている。筆者らは,150名の日本人健常人ボランティアのPBMC中のDPD 活性分布調査を行い,1名の低活性者を発見し(0.7%の割合に相当),新規な変異DPD 遺伝子(DPYD )のヘテロ接合体であることを明らかにしている。現在までに少なくとも34種類のDPYD 変異型が発見されている。しかしながら,DPD 低活性者の遺伝子型決定によってはわずか17%の場合しか低活性の遺伝的原因が説明できないという報告もあり,DPD 活性発現調節機構の複雑さを示している。このように,現状ではDPD 低活性者の検出は遺伝子診断では困難である。したがって,DPD 欠損者および低活性者への5-FU 投与を避けるために,表現型に基づく簡便なDPD 欠損検査法の開発が求められる。
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/content/article/0385-0684/33080/1041