Abstract
肝腫瘍に対するラジオ波焼灼療法はアプローチにおいて使い分けが必要である。特に横隔膜下の腫瘍は経皮経路のみでは穿刺治療が困難な症例が少なくない。当科では, 2000年1月より横隔膜下肝表面の腫瘍48例に対して胸腔鏡下での直達的RFA を行った。対象症例は肝細胞癌(HCC)43例, 腺腫様過形成1例, 転移性肝癌4例であり, 肝細胞癌43例のStage分類は, I/II/III(22/17/4), liver damageの分類は, A/B/C(23/20/0)であった。手術平均時間は237分で平均出血は29.0ml,平均腫瘍径は2.6cmで凝固の平均回数は4.5回であった。鏡視下操作と横隔膜切開による直達的RFA が可能であった症例は27症例(56%)であった。また, 胸腔鏡操作のみ可能で横隔膜下の癒着により横隔膜切開が困難であった症例が15例, 胸腔鏡操作が困難であり開胸となった症例が6例あった。胸腔内癒着は22例, 腹腔内癒着は16例に認められ, 手術, PEIT, TACEなどの先行治療と関係していると考えられた。術後の平均在院日数は9.7日で腹腔鏡下RFA と有意差なく, この間の大きな合併症は特になかった。胸腔鏡下RFA の特徴は横隔膜下肝表面に対して直視下の治療が行え, 確実な治療が期待できる一方,胸腔内癒着, 腹腔内癒着の2種類が関与し, 操作野が制限されることがあげられ, 先行治療を有する症例では注意を要する。