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大網板状肥厚を呈した大網中皮腫の1 例—腹膜中皮腫の画像所見について—
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JPY
Abstract
アスベストの曝露歴のない60 代男性が,腹部膨満感を主訴として当院に入院してきた。血清と腹水のCA125 値は非常に高値であった。腹部造影CT にて大量の腹水がみられ,腸管は浮遊性に乏しく腸間膜の短縮と大網の板状肥厚が認められた。リゾビスト(SPIO)造影MRI-T1強調画像(T1WI)にて肥厚大網は淡く造影された。この造影T1WIの撮像は,おおよそ造影CT の門脈相に一致する画像である。さらにリゾビストで肝・脾の信号を落とし,fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)にて腹水の信号を抑制することにより肥厚大網の高信号が明瞭に描出された。ガリウム(Ga)シンチグラフィでは,肥厚大網に一致してGa の集積が認められた。化学療法の効果なく肝転移などにて2006 年2 月永眠された。剖検の結果,悪性腹膜中皮腫,二相型と病理診断された。悪性腹膜中皮腫の発生には石綿の関与は明らかである。そのため,この患者は知らぬ間に石綿を吸引した可能性がある。血清・腹水CA125値が高値の場合,血液dataや画像からprimary serous papillary carcinoma of the peritoneum(PSCP)による大網転移との鑑別が最も重要と考えられる。今回,二相型びまん型大網中皮腫症例を経験した。大網由来の腹膜中皮腫の画像に関しては,開腹して大網の板状肥厚を認めた報告はあるものの,大網の板状肥厚をSPIO-MRI にて確認した画像的報告は検索し得たかぎりでは認められなかった。この大網の板状肥厚と腸間膜の退縮は,びまん型腹膜中皮腫の症状出現時の画像的特徴的な所見であるといえる。また,その場合にはGa シンチグラフィやFDG-PETも補助的診断として有用である。今後,上皮型,肉腫型,二相型の画像的特長の区分けが待たれる。
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/content/article/0385-0684/35040/677