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JPY
Abstract
中枢神経系の悪性腫瘍の特異な進展形態として,髄腔内播種があげられる。これは腫瘍細胞が脳脊髄液を介して脳表やクモ膜下腔,さらには脳室内や脳槽内に進展・浸潤した病態である。原発性および転移性脳腫瘍でともに発症し,その頻度は原発性脳腫瘍で4.2%,転移性脳腫瘍で5.1%といわれている。原発性脳腫瘍では胚芽腫,髄芽腫,上衣腫,膠芽腫などに好発し,転移性脳腫瘍では乳癌,肺癌,胃癌などで好発し,癌性髄膜炎ともいわれている。髄腔内播種の予後は不良であり,従来の全身化学療法や放射線療法では難治性である。このため特異的な治療法として,抗癌剤の髄腔内投与が行われている。髄腔内化学療法の利点としては,速やかに髄腔内に分布し,そのクリアランスが遅く分解も遅いため作用時間が長い,といった点があげられる。投与経路については,側脳室内にOmmaya reservoirを留置して,これを頭皮上より穿刺して脳室内に投与する方法,腰椎穿刺下に腰部クモ膜下腔内に投与する方法,また,両者を交互にあるいは同時に行う方法などがあり,また投与方法もbolus injection や灌流療法などが行われている。現在汎用されている薬剤としては,methotrexate(MTX),cytarabine(Ara-C),3-[(4-amino-2-methyl-5- pyrimidinyl)methyl]-1-(2-chloroethyl)-1-nitrosourea hydrochloride(ACNU)があげられ,その他,最近は新薬の臨床応用も行われはじめている。治療成績に関しては,腫瘍の組織型や投与薬剤や投与法により差異はあるものの,response rate は40〜80%程度であり,平均生存期間も約4.25 か月である。抗癌剤独自の副作用は全身化学療法と同様の対処でよいと思われるが,特異的な副作用として,非特異性薬物反応性髄膜炎ないし脳室炎,一過性または持続性不全麻痺や脳症があげられる。これらは投与量の減量や中止により軽快することが多く,場合によっては髄注時に少量の副腎皮質ホルモンも追加投与する。また,髄注に際し,刺入部よりの細菌性髄膜炎の併発も認められ,抗癌剤の投与中止,Ommaya reservoir などの抜去や抗生剤の全身および髄腔内投与を行う。このように髄腔内播種は特異な転移形式であり,極めて予後不良な病態ではあるが,本治療法による有効例も散見され,今後有用な治療法の一つとなり得ると考えられる。
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