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JPY
Abstract
分子標的治療とは体内の特定の分子機能を選択的に抑えることにより疾病を治療しようとする方法である。癌治療分野においては,より分子選択性の高い新薬が次々に開発されて,分子標的治療薬の役割は拡大しつつある。しかし,一方で有効な治療薬であっても予期せぬ副作用を発現する薬剤もあることが判明してきた。本章では分子標的治療薬の副作用の一つとして蛋白尿,高血圧といった腎毒性をもつ薬剤に焦点を当てる。分子標的治療薬のうちで現在までに腎毒性をもつことが報告されている代表格は抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)薬である。bevacizumabに関するメタアナリシスの結果からも,特に抗VEGF 薬治療は高血圧,蛋白尿の有意な関連因子であることが推察される。高血圧の原因はVEGF作用阻害による血管内皮の内因性NO 合成の低下と末梢細小血管床の減少などによる末梢血管抵抗の増加が考えられている。また,蛋白尿の原因としては,糸球体上皮細胞のVEGF 産生が阻害されることに由来する糸球体構造と濾過機能の破綻が推測されている。bevacizumab,sunitinib投与例においてはネフローゼ症候群や糸球体微小血管症を発症することが確認されている。対策は定期的な血圧測定と蛋白尿検査による早期発見と降圧剤の積極投与による十分な血圧コントロール(腎庇護療法)であるが,腎臓専門医との連携による治療も必要である。
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