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JPY
Abstract
抗癌剤による心毒性は,1970年代にanthracycline系薬剤のdoxorubicinが登場,普及して以来認識されるようになった。集学的治療や高用量・多剤併用化学療法,そして分子標的治療の発展を背景に心毒性の危険因子は増加し,心毒性はより日常的な副作用として認識されるべき時代となった。分子標的薬の有害事象としての心毒性(trastuzumabに代表される)は,発現した場合,不可逆的な心機能障害に陥る可能性がある。心毒性の発生機序はいずれの薬剤においても十分に解明されておらず,現段階では治療前の心機能の評価,投与期間における心機能のモニタリングを行いつつ,化学療法を実施・中止していくことが実際的な戦術となる。分子標的薬による浮腫(imatinib に代表される)も比較的新しい有害事象の一つである。浮腫の迅速かつ的確な鑑別診断は必須で,適切な対応が求められる。しかし,現段階では対症療法に努める他なく,今後,分子標的薬による心毒性・浮腫のメカニズムの解明,対処法の新たな構築が求められる。
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/content/article/0385-0684/35100/1654