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JPY
Abstract
腫瘍に随伴する電解質異常のなかで高頻度にみられ,治療の緊急性が高いものとして高Ca 血症と低Na 血症があげられる。特に高Ca血症は固形腫瘍の約10%程度で認められる。高Ca血症は肺がん,乳がん,頭頸部がん,腎がんなどで多い。また,悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などの血液腫瘍でも比較的多く認められる。腫瘍に随伴する高Ca 血症は骨転移,腫瘍からのparathyroid hormone-related protein(PTH-rP)産生などに起因する他,calcitriol の産生によっても誘導される。高Ca 血症は時に致死的であり,注意を要する。低Na 血症は腫瘍から産生されるバゾプレッシンや治療に用いられる抗がん剤などの薬剤によるsyndrome of inappropriate antidiuresis(SIADH)として経験されることもある。これらは,いずれも特異的な症状に乏しく気づかれにくいが,治療の遅延から時に重篤な状況に陥ることもあり,緊急な対応が必要となる。治療としては高Ca 血症の場合,脱水の補正とビスフォスフォネート製剤の使用が必要である。ビスフォスフォネート製剤としては現在のところ,ゾレドロン酸の効果が最も優れている。低Na 血症の治療の基本は水制限である。緊急時は高張食塩水の輸液とループ利尿剤を使用する。これらに反応がない時はデメクロサイクリンの投与,バゾプレッシン産生腫瘍の場合はモザバプタン塩酸塩の投与を検討する。低Na 血症の不適切に早い補正は中枢神経系の障害である橋中央髄鞘崩壊症(central pontine myelinolysis: CPM)を引き起こすので注意が必要である。
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