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予後不良であった化生部分を伴う乳房紡錘細胞癌の1 例
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JPY
Abstract
症例は57 歳,女性。受診2 年前より左乳房腫瘤を自覚していた。腫瘤は徐々に増大し,自壊・出血した。初診時,左乳房に皮膚潰瘍を伴う8 cm 大の腫瘤を認めた。画像診断では不整形で内部が不均一に造影される病変であり,左腋窩リンパ節の腫脹を認めた。葉状腫瘍または特殊型乳癌を疑い,左乳房切除,腋窩リンパ節郭清を施行した。病理診断は乳頭腺管癌から紡錘細胞癌への移行像が認められ,化生部分を伴う紡錘細胞癌であった。免疫組織化学は乳頭腺管癌部分ではエストロゲンレセプター(ER)弱陽性・プロゲステロンレセプター(PgR)陰性・HER2陽性で,紡錘細胞癌部分ではER 陰性,PgR陰性,HER2 陰性であった。さらに同部は上皮増殖因子受容体(EGFR)陽性,CK5/6 陽性であり,遺伝子発現からみたbasal-like型乳癌であった。術後はdoxorubicin とpaclitaxelを用いた化学療法とtrastuzumabを併用した。しかしながら,trastuzumab 投与中の術後8か月目に右胸水と右縦隔内腫瘍で再発し,術後9 か月で死亡した。遠隔転移や生命予後を規定したのはbasal-like型の紡錘細胞癌と考えられ,新しい分子標的治療が望まれる。
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