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JPY
Abstract
重粒子線治療は,体内での優れた線量集中性と高い生物効果を特徴とする新しい放射線療法であり,適切な治療法が確立すれば放射線治療の適応疾患のすべてにおいて,通常放射線治療よりも良好な結果が期待できる。放射線医学総合研究所(以下,放医研)では重粒子線の一つである炭素イオン線(以下,炭素線)を用いて1994 年から様々な部位の悪性腫瘍を対象として臨床試験を開始し,着実にその有効性と安全性を報告してきた。結果的に多くの疾患で適切な治療法が確立され,その有用性を示すことができ,適応も拡大されつつある。2009 年2 月までに治療した症例数は4,504症例に達した。初期臨床試験により炭素線治療の有効性が確認された肺癌,肝臓病などでは,より進んだ治療法の確立のため,炭素線治療の生物学的特性を生かして短期小分割照射法の確立をめざし,肝臓では2 回照射法がすでに確立している。肺癌では4 回照射はすでに確立しており,さらに1 回照射法の確立をめざして臨床試験を継続している。また,従来のX線治療の適応とはなりにくい骨軟部の肉腫や頭頸部の悪性黒色腫などの放射線抵抗性腫瘍に対しても良好な成績を得ることに成功した。手術以外に有効な局所治療が存在しなかったこれらの腫瘍で,非侵襲的で高い効果をもつ治療法を確立できたことで,治療法の選択肢の拡大を実現した。現状の重粒子線治療はようやく臨床的有用性の第一段階を示したにすぎない治療であり,今後さらに大きな可能性を残していると考えられる。この可能性が広く認識されるように,安全性および有用性を明らかにすべく研究を継続中である。
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/content/article/0385-0684/36110/1795