No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
骨転移は,乳癌,前立腺癌,肺癌などで多くみられ,直接生命を脅かすことは少ないが,激しい痛みや病的骨折などの骨合併症を併発し,患者のQOL を著しく低下させる。しかしながら,現状ではその治療率は低い。骨は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を繰り返し,絶えずリモデリングを行っている。癌細胞が骨に転移すると,骨代謝を利用して破骨細胞を活性化し,癌細胞自らが増殖しやすい環境を作りだし,さらに破骨細胞が活性化されるという悪循環が生じる。その結果,骨破壊,または骨形成を伴う骨転移が成立・進展する。近年,骨代謝の中核を担う破骨細胞の分化,活性化,生存には,骨芽細胞/骨髄ストローマ細胞に発現するサイトカインであるRANKL(receptor activator of NF-кB ligand)が重要な役割を果たすことが明らかとなってきた。RANKLを阻害することで骨破壊と癌細胞増殖の悪循環を断ち切ることが可能であると実証され,RANKL 阻害剤が骨転移の新しい治療手段として期待されている。実際に,動物実験モデルでRANKLを阻害することで骨転移が抑制されることが示され,臨床においてもRANKL に対するヒト型モノクローナル抗体,デノスマブ(denosumab)が開発された。骨転移を有する進行性の癌患者を対象とした三つの第III相臨床試験において,骨関連事象(skeletal-related events: SRE)の初回発現リスクについて現治療薬として最も頻用されているゾレドロン酸に対するデノスマブの優越性または非劣性が証明された。RANKL 阻害というまったく新しい作用機序をもつ生物学的製剤デノスマブの登場で,骨転移治療が容易かつ効果的となり,癌患者のQOL の改善および管理向上が図れると期待される。
Full text loading...
/content/article/0385-0684/38090/1439