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がん治療中の退院,転院支援,調整を行う際壁となる問題―老人性うつ状態の時(精神腫瘍医の立場から,第二報)―
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JPY
Abstract
がん治療中,緩和ケアチームに患者が紹介される機会が増えてきた。終末期に近い状況下で,患者がうつ状態になった場面では患者の家族も動揺しやすく,療養場所の一つとしての在宅生活を,「より長く」めざすためにはきめ細かい対応,早期の発見,早期の対応が必要となる。がん対策推進基本計画に基づき,当院でもがん相談支援センター,がん緩和ケアチーム(ともに2009 年6 月開設)に多職種のスタッフを配置,チームでかかわり,入院中の患者の意向に沿うようshared decision makingを繰り返しながら在宅への試みを検討中である。実際の問題点として, 1.患者の精神的うつ状態のため,うつ特有にみられる能力の低下はないものの,低下しがちな自己評価,時間のかかる自己判断などで,入院から在宅に移行できなかったり,移行のタイミングが遅くなりやすいことを経験するようになった。がんをもつ「うつ」のうち,治療中の薬剤に起因する主なものはステロイド,インターフェロン製剤,降圧剤,女性ホルモン剤,抗ヒスタミン薬,抗菌剤などの有害事象による出現頻度が非常に高いものであるとともに,症状を改善しやすいことがわかっている。なかでもよく使われるステロイドは服用後平均して10 日経過後,5%の患者にプレドニゾロン換算40 mg/日に発現リスクが高いとされている。薬剤起因性の場合は減薬で意外と早く症状緩和ができるが,通常のうつの場合,抗うつ剤を服用してから作用に先立って副作用が出現する可能性があることや効果発現までに2〜4 週間かかることも踏まえなければならず,また,うつ状態では意思決定を先延ばしにしたほうがよいともいわれており,早急さを要する急性期の緩和医療では検討課題の一つである。決定に時間がかかり,結果的には在宅に復帰はできたが,短期間で終わってしまっては反省にならないため,うつを見逃さず適切な対応をするためには常日ごろからのきめ細かい観察が望まれる。
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