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BRCA1 とBRCA2 遺伝子産物の機能―基礎から臨床―
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JPY
Abstract
BRCA1とBRCA2は「ゲノムの管理人(caretaker)」としてゲノム安定性の維持に機能している。BRCA1 は多機能を有する蛋白で,ATM/ATR およびその器質と相互作用し様々な細胞機能に関与している。BRCA1 はDNA 損傷反応におけるS 期およびG2/M 期チェックポイント機能に重要で,同時にGADD45 やRNA poly Ⅱなどの転写調節を行うとともに,SWI/SNF,BACH1などと相互作用しクロマチンリモデリングに機能する。BRCA2 も多機能で,MRN複合体やRPA と共同でDNA二本鎖切断の修復準備およびRad51と相互作用しDNA損傷部位に直接作用し修復する。さらにBRCA2 蛋白は,細胞質分裂(cytokinesis)制御や,中心体の複製制御機能を有する。このようなBRCA 機能を欠損した細胞または癌に対し,ポリADP-リボース合成酵素[poly(ADP-ribose)polymerase: PARP]阻害剤による新しい治療が展開されている。PARPは一本鎖DNA 切断時の修復に機能し,その阻害は複製フォークを壊しDNA 切断性の抗癌剤の効果増強作用があると推測されていた。PARP1を阻害すると一本鎖切断は修復されないが,その損傷は二本鎖切断へと変化し,相同組み換え(HR)によって修復される。しかし,BRCA1 またはBRCA2 の欠損細胞のように相同組み換え修復が行えない細胞においてPARP機能を阻害すると,高度のゲノム不安定性が生じ死に至る(synthetic lethality)。この知見に基づき,PARP 阻害剤による治療法開発が進められ,BRCA1またはBRCA2が不活化された細胞に対して,PARP 阻害剤を単独で投与したところ高い感受性が得られたことが報告された。
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