Abstract
背景: 頭頸部癌に対するdocetaxel,nedaplatin,5-fluorouracil 3 剤併用化学療法に伴う消化器症状の副作用の発現頻度を明らかにすることを目的として本研究を実施した。方法:頭頸部癌患者91 例を対象として,203 コースのデータから悪心,嘔吐およびその他の消化器症状(口内炎,下痢,便秘)の発現頻度についてレトロスペクティブに調査した。評価はNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Event v4.0 日本語訳JCOG/JSCO版に従って実施した。結果: 1 コース目における悪心,嘔吐,口内炎,便秘および下痢の発現した患者割合は74%,16%,42%,42%,13%であった。悪心,嘔吐,便秘の発現頻度は,主に2,3 日目から発現しはじめ,5〜7 日目にピークとなった。下痢や口内炎に関しては悪心,嘔吐,便秘に比べて発現が遅れ,8〜11日目に高頻度となった。消化器症状のなかで最も頻度が高かったのが悪心であり,癌化学療法急性期(1〜5 日目)に比して遅発期(6〜14日目)でみられる症状であった。前回治療コースにおける悪心,嘔吐の発現は,悪心の頻度に有意な影響を示さなかった。また,他の背景因子による層別解析から,女性で嘔吐,下痢の発現頻度が高く,65 歳以上の患者で悪心の発現頻度が高くみられた。結論:悪心はdocetaxel,nedaplatin,5-fluorouracil3 剤併用化学療法の遅発期に予想以上に高い頻度で起こる症状であった。