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在宅ケアを続ける上で支障となりやすい,せん妄(認知症と間違いやすい)について―精神腫瘍医の立場から(第三報)―
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JPY
Abstract
がんになっても仕事をなくさないように,緩和ケアをいつでもどこでも受けられるように,がんそのものの早期発見をめざすために,患者と同様将来遺族になるであろう家族に対しての対応も求められる。最終的には「できるだけ長い期間在宅で」をめざし作られた2007年のがん対策基本法,がん対策推進基本計画施行から5 年間が経過し,新5 か年計画策定に向けて見直しが検討されている。他方,わが国年間100万人の死亡数のうち,がん死は1/3,将来的にこの比率はもっと上昇し,2 人に1 人との予想もでている。また療養場所として多くの人が希望する終末期には在宅でという希望は,なかなか10%というハードルを越えるに至っていない現実もある。病床数301 床,在院日数10 日の急性期総合病院の当院でも努力中である。第20,21,22回の日本在宅医療学会学術集会でも報告した,在宅医療への移行をスムースに行うために,身体症状緩和,精神症状緩和をめざし多職種の協力の大切さは,昨今ますます重要視されている。当院でもがん相談支援センター,がん緩和ケアチームに医師,看護師(がん関連の認定看護師を含む)ソーシャルワーカーのスタッフを配置し,患者とshared decision making(SDM)を繰り返しながら,がん終末期になってもより苦痛の少ない在宅生活をめざしている。その際,支障となるものは多々あるが,精神症状の発現への対策も重要である。多くの場面において精神疾患でよくみられるせん妄では,結果的に全般的生活の質のさらなる低下の他,将来遺族になるであろう家族の消耗につながり思いがけない悪い結果を生んだり,治療の妨げになることもある。特にがん末期では治療方針,療養場所など次々と決定しなければならないことも多く,せん妄発現が往々にして妨げとなる。せん妄の評価,ケア,治療(でき得れば環境調整などで予防も含め)が重要である。そのためには,関係スタッフの協力,研鑽が必要である。院内にがん相談支援センターを作り活動を始めてから3 年経過し,自験例も30例を超えた。そのなかで,今後のせん妄対策には基本的な対応が必要だと再認識をした例を経験したので報告する。
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