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JPY
Abstract
大気環境の悪化は,主として増大した化石燃料の燃焼が原因である。大気中の汚染粒子の発生源は,都市部においては主としてディーゼル車の排気ガス,工場からの煤煙,木材の燃焼などがあげられるが,それには二酸化硫黄,窒素酸化物などの気体状のものと,大気中に浮遊する粒子状物質(particulate matter: PM)がある。粒径が2.5 mm以下の微小粒子状物質をPM2.5と呼ぶが,長期曝露を受けると心血管疾患のみならず肺癌の死亡率が高くなる可能性がある。PM2.5吸入による肺癌発生のメカニズムは明確ではないが,死亡率が高くなることの根拠が示されている。一方,アスベスト粉塵は呼吸器癌の発生に関係することが知られ,特に肺癌と中皮腫との関係は明らかである。アスベスト繊維は職業性の高濃度曝露だけではなく,極めて低濃度の環境曝露での発癌が知られている。わが国では,アスベストは2006 年に禁止されたが,地震・津波などの大規模災害時には,アスベスト建材を含む家屋が多く破壊され,損壊家屋や瓦礫からのアスベスト飛散が起こる可能性がある。トルコのカッパドキアには住民の過半数が中皮腫で死亡している村が存在する(Tuzkoy,Karain,Sarihidir)。原因は,この地方を覆う火山灰由来の繊維状ゼオライトであるエリオナイトの環境曝露であるが,これらの村の調査で中皮腫が多発している家系と発生していない家系が明らかになり,中皮腫発生にかかわる遺伝的素因の存在が示唆されている。最近,中皮腫が多発する米国の2家系に,germline BAP1 mutationの存在が明らかにされている。
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