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幹細胞疾患の分子機構―マイクロRNAとエピジェネティクス―
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JPY
Abstract
幹細胞は自己と同じ能力をもつ細胞を生みだす「自己再生能」と,組織を構成する他の細胞を生みだす「分化能」を併せもつことで組織や臓器の維持にかかわる細胞である。遺伝子異常の蓄積を背景にした異常増殖と分化異常が病態の根幹にあるがんにおいても,その基となった正常組織と同様に「がん幹細胞」と呼ばれる幹細胞が存在し,がんの発生,再発,転移に重要な役割を果たしているという知見が示されている。多細胞生物を構成するすべての細胞は,基本的に同じ遺伝子情報をもつことから,このような幹細胞やがん幹細胞から様々に分化した細胞が生みだされる過程では,マイクロRNA やエピジェネティック制御のような,遺伝子情報の使い方を制御する分子機構が重要な働きをする。また,マイクロRNA とエピジェネティック制御が相互作用しながら,幹細胞性を制御する機構も明らかになってきた。たとえば,正常乳腺幹細胞およびヒト乳がん幹細胞では,共通してmiR-200 ファミリーマイクロRNA の発現が抑えられており,そのなかでもmiR-200c は幹細胞性制御に重要なポリコーム群蛋白質BMI1を標的としてその発現を制御する。また,miR-200前駆体の発現は,DNA のヒストン修飾やポリコーム群蛋白質により制御されている。さらに,miR-22 マイクロRNA はヒストン脱メチル化酵素の発現抑制を介してmiR-200前駆体の発現を抑制し,結果としてBMI1の発現を増強する。近年,がん幹細胞やエピジェネティクスを標的とした治療も試みられるようになったことからも,正常組織の幹細胞やがん幹細胞を制御する分子機構の理解は今後ますます重要になるものと考えられる。
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