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肺がんからの転移性脳腫瘍摘出術後におけるCis-Diamminedichloroplatinum(CDDP)の脳室,腫瘍切除腔および腰部クモ膜下腔髄液への移行およびマンニトール静脈内投与による前処置の影響
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JPY
Abstract
目的: 肺がんの転移性脳腫瘍において術後cis-diamminedichloroplatinum(CDDP)による化学療法が腫瘍切除後の局所再発をcontrol することを報告してきたが,実際それに関してどの程度のCDDP が腫瘍切除腔髄液に移行するか明らかにされていない。そこで,CDDP 静脈内投与後の脳室内髄液,腫瘍切除腔内髄液,腰部クモ膜下腔髄液への移行を調べ,比較に報告されているが,このマンニトールを通常の静脈内投与した場合にその効果があるか,CDDP の髄液移行への影響から検討した。方法:肺がんからの髄液播種を伴わない充実性転移性脳腫瘍11 例に対して,腫瘍摘出後に切除腔と側脳室前角の両方に Ommaya reservoir を留置し,術後 10 日目にまず CDDP 80 mg/m2を60 分で投与し,経時的に脳室および切除腔の髄液と血液を採取した。1 回目のCDDP 投与後より1 週間して,今度はあらかじめ20%マンニトール200 mL を15 分で投与し,その直後同量のCDDP を60 分で投与した。4 例はspinal drainage を留置し,腰部クモ膜下腔の髄液も採取して測定した。総platinum(Pt)濃度を測定後,マンニトール投与の有無別に血清,髄液濃度のarea under the plasma and CSFconcentration time curve(AUC)(ngh/mL)を moment法にて求め,比較検討した。また,投与前後のクレアチニン・クレアランス(Ccr)も測定し,腎機能への影響も検討した。結果: マンニトール投与群では明らかに総Pt の血清濃度の上昇を認めた(p<0.001,paired t-test)。総Pt のAUCと最高濃度は,脳室内髄液に対して腫瘍切除腔では非マンニトール群で20倍,マンニトール群で 16 倍の高値を示した(p<0.0001)。血清濃度に対する髄液濃度(髄液 AUC/血清 AUC),すなわち髄液への移行度については,マンニトール,非マンニトール群ともに腫瘍切除腔は脳室内髄液の16 倍ほどの移行度(p<0.0001)を示した。しかしながら,マンニトール投与による差は脳室,腫瘍切除腔,腰部髄液ともにまったく認められなかった。腎機能への影響については,初回CDDP 投与時には全例Ccrの低下を示したが,マンニトールを併用した2 回目の投与後では7例にCcr の増加を認めた。結論: 腫瘍切除腔へのCDDP の移行は良好で,血清濃度の約30%が移行することが認められ,この高濃度は腫瘍の局所再発のcontrolと密接に関係し,また腫瘍細胞の播種を防ぐ可能性が考えられた。マンニトールによる前処置は血清濃度の上昇をもたらしたが,髄液移行に関しては明らかな好結果をもたらさなかった。マンニトール併用による腎機能への影響については,初回投与後の値より7例でCcrの上昇を認めたが,少数例の臨床研究であり,今後の多数例での報告を待ちたい。
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