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JPY
Abstract
CD26 分子は110 kDaの膜蛋白質でdipeptidyl peptidase Ⅳ(DPPⅣ)酵素活性をもち,N末端から二つ目のプロリンやアラニンを切断する酵素である。悪性中皮腫(MM)は胸膜中皮細胞から発生する非常に攻撃的な腫瘍で一般的にはアスベスト曝露により発生し,非常に予後が悪い。有効な標準治療法は存在しないことから,新規かつ有効な治療法開発は急務とされている。最近われわれは,CD26 分子は正常中皮細胞には発現しないが,上皮型中皮腫の約80%に発現することを報告した。さらに,非常に生物学的活性の強い良質なヒト化CD26 抗体を開発してヒト癌細胞移植モデルマウスを用いて本抗体が強い抗腫瘍効果を有するという広範なデータを示してきた。本結果から,ヒト化CD26 抗体は悪性中皮腫の新規治療法として臨床応用できる有望な可能性を強く示唆した。本抗体を用いて初めてヒトに投与する(first-in-human: FIH)第Ⅰ相臨床試験をフランスにて行い,ヒト化CD26 抗体は良好な耐容性およびCD26 陽性腫瘍,特に治療抵抗性悪性中皮腫に対して有効性を示す予備的な証拠も得ることができた。これらの結果を踏まえて,日本でも悪性中皮腫をターゲットとして第Ⅰ相臨床試験が近々開始される予定である。
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/content/article/0385-0684/43070/855