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JPY
Abstract
化学療法の進歩によってがんの寛解率や治癒率は格段に向上しているが,それに伴って,がんあるいは薬剤による副作用に関連する心血管合併症の管理が生命予後やQOL を左右する大きな要因となりつつある。特に,アントラサイクリン系抗がん剤のように心毒性が古くから知られた薬剤に加えて,様々な分子標的薬による心血管系の副作用が問題となっている(chemotherapy-related cardiac dysfunction: CTRCD)。CTRCD は臨床経過と病理組織学的変化によりタイプ1 とタイプ2 に分類される。アントラサイクリン心毒性に代表されるタイプ1 CTRCD は用量依存性で,特徴的な組織学的変化を伴い不可逆的な臨床経過を示すのに対して,トラスツズマブに代表されるタイプ2 CTRCD は用量非依存性で,組織学的変化を伴わず可逆的な臨床経過を示す。また,抗VEGF 抗体やチロシンキナーゼ阻害薬といった血管新生阻害薬でも,心血管リスクを伴う場合にはCTRCD が問題となり得る。腫瘍内科医と循環器内科医とが綿密に協働することで,CTRCD の疫学や病態生理の解明,さらにはリスク層別化,エビデンスに基づいた治療の確立といったがん患者やがんサバイバーのアンメットニーズにこたえていく必要がある。
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/content/article/0385-0684/44130/2058