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JPY
Abstract
浸潤する免疫細胞と癌の予後との関連性については,これまでに多くの報告がある。一般的に癌細胞は生体内の免疫監視システムから逃避し増殖すると考えられている。腫瘍免疫抑制機構に関連する細胞には,マクロファージや制御性T細胞,骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC),好中球などが含まれる。これらの免疫抑制細胞は,癌細胞や線維芽細胞などの間質細胞が産生するサイトカインにより,TGF-b やIL-10 の産生やPDL-1 の発現を増強し細胞傷害性T 細胞(cytotoxic T lymphocytes:CTL)を抑制する。一方,進行胃癌であっても抗原特異的に反応するCD8+ T細胞の存在が証明されており,胃癌組織内のメモリーT 細胞やNK 細胞やNKT 細胞も良好な予後と相関する可能性が示唆されている。最近では,胃癌組織内の三次リンパ様構造(tertiary lymphoid structure: TLS)と呼ばれる濾胞リンパ系構造の存在が予後の指標になると注目されている。二次リンパ器官から距離を置いたTLS 内で,腫瘍特異的な免疫応答の活性化が起こることが知られている。このように,胃癌組織内では免疫応答は抑制されているものの免疫バランスを促進方向に向かわせることが可能であり,その代表的な薬剤が免疫チェックポイント阻害剤である。2017 年に免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1 抗体)の有効性が証明され,効果予測バイオマーカーとして腫瘍浸潤免疫細胞が注目されている。また,癌ゲノム研究の進歩とともに,どのtypeに免疫応答が誘導されるか徐々に解明されつつあり今後の研究結果が期待される。このように,種々の腫瘍浸潤免疫細胞の浸潤形態や機能を評価することは,今後の胃癌に対するプレシジョン・メディシンにおいて極めて重要であると思われる。
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/content/article/0385-0684/45020/217