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JPY
Abstract
腫瘍組織はがん微小環境と呼ばれる特殊な環境下にあり,多くの点において腫瘍細胞の生存や増殖に有利な環境となっている。その一つとして免疫抑制環境があげられ,自己免疫寛容に働く制御性T細胞(Treg)が重要な役割をもつことが知られている。Tregに高発現しているCTLA-4は,APC上の共刺激分子と相互作用をして共刺激シグナルを抑制し,T細胞の活性化を阻害する他,抑制性サイトカインやアデノシンを介してT細胞を抑制する。腫瘍組織には正常組織と比較して高頻度でTreg が浸潤していることが知られ,Treg の浸潤が多いほど患者の予後が悪いことが様々ながん種で示されている。がん微小環境ではがん細胞などが産生するケモカインなどの働きによりTreg がリクルートされ,さらに局所で増殖している。さらに近年,がん局所の免疫抑制環境にがん細胞やそこに浸潤する免疫担当細胞の代謝が密接にかかわっていることが明らかになってきている。抗腫瘍活性を有するエフェクターT 細胞は細胞増殖やエフェクター機能を維持するために解糖系を駆動している一方,Treg は免疫抑制活性のために酸化的リン酸化が重要である。多くの腫瘍細胞は盛んにグルコースやグルタミンを取り込み,生命活動を維持しているためがん微小環境では周囲の正常組織や末梢血と比較した場合にそれらの濃度が低下し,エフェクターT 細胞は解糖系を行うことができず抗腫瘍活性が抑制される。また,低グルタミン濃度下ではエフェクターT 細胞は増殖およびサイトカイン産生が抑制される一方,Treg は優位に誘導される。さらに腫瘍局所では腫瘍細胞による解糖系の産物である乳酸が蓄積しており,高濃度の乳酸はエフェクターT 細胞の増殖やサイトカイン産生を抑制する。一方,Treg はそのような条件下においてより多く誘導され,機能低下もみられないことが示されている。さらに腫瘍局所でTregや腫瘍細胞により産生されるアデノシンはエフェクターT細胞の免疫応答を抑制する。以上のようにがん微小環境は様々な要因からTregが浸潤し,増殖,機能しやすい一方で,エフェクターT細胞は機能抑制を受けるために免疫抑制環境となっている。
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