No data available.
Please log in to see this content.
You have no subscription access to this content.
The full text of this article is not currently available.
シンポジウム 1 ● PGx の進歩新薬開発における PGx の展望
Rent:
Rent this article for
JPY
Abstract
英国の Peter Harper は 2008 年の著書で,日本は人類遺伝学がとくに弱い国であると述べている。これには「genetics」の訳語と概念の問題がある。「遺伝学」のもととなっている英語は「genetics」であるが,これは国際的に「heredity と variation の科学」と定義されている。ところが,日本の「遺伝学」は,訳語の問題もあり「遺伝の科学」ととらえられがちで,「variation:多様性」の概念が抜け落ちている。遺伝学の訳語の問題については最近,日本人類遺伝学会が用語の改訂を発表し,研究者やそれ以外の人々に遺伝学上の概念を正しくとらえるように促した(http://jshg.jp/)。遺伝学の定義だけではなく,突然変異,変異,遺伝子型,対立遺伝子,遺伝子座など遺伝学の基本的概念の把握を困難にする訳語が多かったのである。実際に日本において弱いのは variation の部分であり,heredity の部分は必ずしも弱くはない。それは,日本において遺伝病の優れた分子的研究が数多く発表されていることをみてもわかる。しかし,遺伝学は heredity だけではなく variation も対象とする科学である。われわれには遺伝学が heredity の科学であると考える傾向が強いので,遺伝学が弱いと言われても,われわれにはよく理解できないのである。variation を取り扱う分野として統計学がある。統計学はもともと遺伝学から発生した科学であり,同じような内容をもつ。この 2 つ,とくに variationの科学が脆弱であることは日本の特徴である。
Full text loading...
/content/article/0386-3603/38041/30