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JPY
Abstract
今から約 140 年前,Armand Trousseau は,悪性腫瘍に静脈血栓が多発することを報告している1)。以来多くの報告があり,担癌患者は凝固・線溶異常をきたすことが知られている。播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation;DIC)は,種々の基礎疾患により血管内で血液凝固機序が活性化され,全身の血管,とくに細小血管内に血栓を多発する症候群である。固形腫瘍を基礎疾患とした DIC症例では,凝固後に引き続き起こる二次線溶や,凝固に必要な凝固因子や血小板が消費されて減少し,血栓傾向とは相反する出血傾向(消費性凝固障害)を呈することも多い。1992 年に行われた厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班の統計によると2),内科領域では造血器悪性腫瘍,とくに急性前骨髄球性白血病が多く,ついで肝癌が多いとされている。外科領域では,胃癌,敗血症,大動脈瘤,大腸癌,肝癌の順であった。小児科では敗血症,新生児死亡,急性前骨髄球性白血病の順であり,産婦人科領域では,常位胎盤早期/ 離,子宮癌,妊娠中毒症の順であった。以上より,各科に共通の DIC の基礎疾患として悪性腫瘍が重要であることがわかる。その後 1998 年にも調査が行われたが3),固形腫瘍では絶対数は肝細胞癌,肺癌,胃癌,結腸癌が多いと報告されている。しかし,固形腫瘍の発症絶対数が多いため,DICの発症頻度としては,白血病や敗血症,劇症肝炎,前置胎盤などの産科疾患に比べて,各種疾患における DIC 発症頻度は低い。本稿では固形腫瘍による DIC について述べることとする。
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/content/article/0386-8109/41030/253