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JPY
Abstract
心理社会的ストレスはさまざまな疾病に悪影響を及ぼす。21 世紀の先進国においては,ストレス関連疾患が国民の健康と経済に重大な悪影響を及ぼすと考えられる。その病態生理を正確に評価・解決し,患者の quality of life を向上させることは,医学の分野を問わない大課題である。ストレス関連疾患のなかでも特に過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は高頻度で,重症化すれば治療はしばしば困難である。IBS は慢性的に繰り返される腹部不快感・膨満感,腹痛を主訴とする症候群である。一般人口のおおよそ 10%に女性優位で発症がみられる1,2)。このような高頻度な疾患であるものの,有効な治療法の確立にはいまだ至っていない。IBS に罹患した全患者について算出された年間医療費は少なくとも 80 億 US ドル3),患者個人単位では 348~8750US ドルと莫大であることが欧米より報告されている4)。加えて,IBS は致命的な疾患でないのにもかかわらず,患者らには末期直腸がん,糖尿病,大うつ病と同程度までの quality of life の著しい低下がみられる5)。以上より,有効な治療法の早急な開発が必要であると考えられる。治療法の開発を困難にしている要因としてIBS の病態の中核をなす脳内神経伝達に不明な点が多いことがあげられる。さらにストレス応答を規定する要因として個体のもつ遺伝子型を考えなければならないが,その詳細は不明である。これまでに IBS の病態生理を説明する生物心理社会的なモデルが提唱されている(図 1)6)。このモデルは脳-腸軸(brain-gut axis)を論理的基盤とする(図 2)7)。当該モデルにおいても,IBS における中枢および末梢機能に遺伝的要因または環境要因が関連する可能性が示唆されている。しかし,それらの要因の中枢および末梢機能における作用機序は明らかになっていない。本稿では IBS の発症と遺伝的要因,特にセロトニン系の遺伝子多型について述べる。
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/content/article/0386-8109/41060/561