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JPY
Abstract
機能性腹痛症候群(functional abdominal painsyndrome:FAPS)は腹部に限局する慢性疼痛(障害)であり,他の痛みを有する機能性消化管障害(functional gastrointestinal disorders:FGID)と区別されるいくつかの特徴がみられる。慢性疼痛とは,米国精神学会の精神疾患の分類と診断の手引(DSM-IV-TR)における疼痛性障害(pain disorder),すなわち『解剖学的な一定の部位の疼痛が,著しい苦悩あるいは社会的な機能障害を引き起こし,心理的な要因が重要な役割をはたすもの』のうち,症状が 6 ヵ月以上持続するものを指す1)。米国麻酔学会の定義もほぼ同様であり,疼痛により患者の機能と健康が悪影響を受けている状態である2)。FAPS では他の FGID 同様に,痛みの原因となりうる形態的異常あるいは代謝性障害が見いだされないが,病態に中枢神経における内因性の疼痛制御系の異常(詳細は後述)が深く関与することが徐々に明らかになってきている。そのこともあって,Rome II 基準では機能性腸障害のひとつに位置付けられていたが,Rome III基準からはそれから独立したカテゴリーとして取り扱われている。Rome III 基準では,症候を引き起こす臓器別にカテゴリーが構築される試みがより重視されていて,それに伴う変更といえる。すなわち,FAPS の治療においては,過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)に代表される機能性腸障害と異なるスタンスが必要であることを意味する。本稿では,Rome III基準における FAPS の概念を解説し,治療法について概説する。
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