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JPY
Abstract
脂質異常症と動脈硬化との関係は,以前より実験動物を用いた研究から,高コレステロール血症,高レムナント血症との関係が明らかにされてきた経緯がある。一方,臨床的には,家族性高コレステロール血症,Ⅲ型高脂血症などの研究がこの方面の研究を加速する結果になった。ことに前者の LDL 受容体異常により惹起される本症は,血中 LDL コレステロール(LDLC)値が上昇し,結果的に動脈硬化が早期に進み,その死因の大部分が心筋梗塞であることが特徴である。本症の病態を分子レベルで進めたGoldstein,Brown の精力的な研究から,動脈硬化の病態もしだいに解きほぐされてきたといえよう。さらに近年の研究の進歩により,脂質異常症すなわちトリグリセライド(TG)リッチリポ蛋白血症(レムナント血症),低 HDL コレステロール(HDL-C)血症と動脈硬化との関係が明らかにされた。またこの間の,マウスを中心とした発生工学研究の進歩により,動脈硬化の分子レベルでの検証が進み今日を迎えている。臨床疫学研究の代表とされる Framingham 研究において,虚血性心疾患の基盤をなす因子として,脂質異常症,高血圧,耐糖能異常,喫煙,左室肥大があげられ,以来これらは総称して危険因子とよばれるようになった。さらに,近年,生活習慣の欧米化に伴い,動物性脂肪を中心としたエネルギー摂取過多,運動不足によるエネルギー消費不足により惹起される内臓脂肪蓄積を上流としたメタボリックシンドローム(高血圧,耐糖能異常,高 TG 血症・低 HDL-C 血症(脂質異常症),インスリン抵抗性などを主症状とする)が増加の一途をたどり,ひいては動脈硬化を引き起こすことが明らかにされ,臨床上解決すべき大きな命題となってきた。糖尿病,メタボリックシンドロームの呈する脂質異常症は,基本的にはインスリン抵抗性により惹起されるリポ蛋白リパーゼの活性低下に起因する,VLDL の代謝低下に由来する高レムナント血症,低 HDL-C 血症,高 small denseLDL 血症である。今までに明らかにされてきた,高 LDL-C 血症がもたらす早発性動脈硬化の発症の分子機序を基礎に,今後,糖尿病,メタボリックシンドロームなどがいかなるメカニズムで動脈硬化を引き起こすかが明らかにされるであろう。本稿では,“脂質異常症と動脈硬化”について,主として述べる。
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/content/article/0386-8109/41090/895