Abstract
Blonanserin(BNS)の統合失調症患者に対する長期投与時の安全性及び有効性を,多施設共同オープン試験で検討した。解析対象例321例のうち,28週(182日)以上投与されたのは264例(82.2%),52週(364日)以上が155例(48.3%)であった。最終評価時のPANSS及びBPRS合計スコアは投与前より減少し,陽性及び陰性症状のいずれにも改善を示した。また,最終全般改善度改善率(「著明改善」+「中等度改善」の割合)は,28週後が51.9%,最終評価時は48.1%と長期投与でも改善効果を維持した。試験期間内に発現した有害事象及び副作用発現率はそれぞれ96.9%,68.5%で,28週(182日)以上投与した症例でも同様であった。抗精神病薬の使用で問題となる錐体外路系副作用発現率は35.8%であり,新たに遅発性ジスキネジアなどの運動障害は発現しなかった。また,他の抗精神病薬で問題となるプロラクチン上昇,体重増加,起立性低血圧,過度鎮静,耐糖能異常などのリスクも低いと推察された。以上より,BNSは第二世代抗精神病薬の特徴を有し,長期間投与しても安全性に大きな問題はなく,精神症状改善効果が持続する有用な統合失調症治療薬であると考えられた。 Key words :blonanserin, serotonin―dopamine antagonist, schizophrenia, long―term study, safety