Abstract
Duloxetineのうつ病・うつ状態に対する有効性,安全性及び有用性を確認するため,三環系抗うつ薬であるimipramineを対照とした二重盲検比較試験を行った(実施例数:duloxetine群88例,imipramine群88例)。Duloxetine群10~30mg,imipramine群50~150mgを6週間漸増投与し,最終全般改善度の改善率について,非劣性マージンを10%として非劣性検定を行った。その結果,主要解析対象集団Per Protocol Set(PPS)ではduloxetine群(60.5%)のimipramine群(60.3%)に対する非劣性は示されなかった(P=0.101)。しかし,副次解析対象集団Intention―To―Treat(ITT)では,duloxetine群(55.7%)のimipramine群(47.1%)に対する非劣性が示され(P=0.007),このITTの結果はPPSと比較して,臨床の場での有効性をより適切に反映していると考えられた。概括安全度における安全率は,duloxetine群で83.3%,imipramine群で66.7%となり,duloxetine群が有意に高かった(P=0.018)。また,有用度における有用率は,duloxetine群で56.0%,imipramine群で51.3%となり,投与群間に有意差は認められなかった(P=0.637)。以上,duloxetine10~30mgは,PPSではimipramineとの非劣性は示されなかったが,ITTでは示されており,抗うつ効果を有すると考えられた。また,安全性についても,臨床的に問題となる所見は特にみられなかった。 Key words :duloxetine, SNRI, antidepressant, imipramine, double―blind study