Abstract
Ramelteonはわが国創製のmelatonin MT1/MT2受容体作動薬で,2005年米国でいち早く承認されているが,2010年わが国でも新規睡眠薬として承認された。今日,普遍的に用いられている睡眠薬であるbenzodiazepine(BZ)および非BZ-BZ受容体作動薬とはまったく作用機序を異にするもので,MT1受容体を介して視交叉上核(SCN)神経の自然発火を抑制し,MT2受容体を介してSCN神経活動の概日リズムの位相シフトの役割を担っている。Ramelteonはわが国で初めての大規模なpolysomnograph(PSG)による客観的睡眠潜時の短縮作用が確認され,さらには睡眠日誌を用いた主観的評価を経て,「不眠症における入眠困難の改善」の効能・効果を得ている。効果の特徴はBZおよび非BZ-BZ受容体作動薬とほぼ同等の睡眠潜時の短縮にあり,安全性については,上記睡眠薬で常に問題視される反跳性不眠,依存性,離脱症状などがまったくみられず,筋弛緩作用や健忘作用のない点である。今後,ramelteonの臨床上の特徴を生かした不眠症治療を展開し,治療の幅の拡がることを希望する。 Key words : ramelteon, melatonin, MT1 receptor, MT2 receptor, insomnia